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まんざら捨てたものじゃない [心がポカポカするお話し]

昨日は突然の大雨でしたね。

マアカは駅にいました。
入口には雨宿りの人がいっぱい。
ロータリーにはバスも来てるし、タクシー乗り場にはタクシーが待ってるし。
でも、傘がないので誰もそこまでいけません。
マアカは総帥閣下のお迎え待ち。

バスが到着しました。
乗っていた人たちは走って駅の中に入っていきます。
一番最後に杖をついたおばあさんが降りてきました。
どしゃぶりの中、おばあさんはバス停の屋根から出ることができません。

その時、駅の改札から高校生たちが出てきました。
「ちょ~ラッキ~。俺、傘もってるし~」
「おー、相合い傘しようぜー」「俺もいれてくれー」
流行遅れすぎの腰パンとピアスのお兄さんたちは大はしゃぎしていましたが、傘を持っていると言ったお兄さんは、
「ちょっとこれ持ってて~」
と荷物を友達に渡すと、バス停に走っていって、困っているおばあさんに傘を差し出しました。
そしておばあさんの荷物を持つと、駅まで一緒に歩きました。
傘はおばあさんにだけかかっていて、お兄さんはびしょ濡れでした。
駅までつくとおばあさんに荷物を渡してペコリと頭を下げました。

「なに一人でいいことしてんだよー!」
「おめぇだけ美女と相合い傘がよー!」
「ずりぃぞー!」
と叫ぶ友達に
「やくとくだせー!」
と返しながら、お兄さんたちは土砂降りの中を走っていきました。

傘、いらんじゃん。

すごくくやしかったのは、いい年したマアカが先に動けなかったこと。
マアカだって傘もってたのに。
迎えに来てくれた総帥閣下にそう言ったら、
「若者の善行の邪魔をしたらいかん」
と、言われました。





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